2019年度皮膚科専門医試験の傾向【皮膚エコー・自己炎症性疾患】

 選択問題100問、記述問題20問の出題で、合格率は80.1%でした。

 2019年度より面接が廃止され、筆記試験での出題問題数が増加しました。

 受験生には予想外の問題数増で時間がギリギリだったという声もありました。

 真新しい問題としては「皮膚エコー」の問題がはじめて出題されました。

 出題分野について検討すると、出題分野ベスト40からは49問の出題がありました。

選択問題【太字の番号は出題分野ベスト40】

番号 番号 
1特発性後天性全身性無汗症51シェーグレン症候群
2生物学的製剤52Chapel Hill分類
3多汗症・乏汗症53皮膚筋炎の自己抗体
4NMF54鼠径リンパ節郭清
5AGA治療55ヘミデスモゾーム
6ざ瘡の抗菌薬56ヘミデスモゾーム
7毛包の構造57split skin
8脱毛症58サルコイドーシス
9毛包・脂腺の発生59脱色素斑
10光線テスト60網状肢端色素沈着症
11紫外線61固定薬疹
12色素性乾皮症62納豆アレルギー
13メラニンの合成63蕁麻疹
14ケラチンの種類64口腔アレルギー症候群
15周辺帯の構成65RASopathies
16ケラチン異常症66掌蹠角化症
17アトピー性皮膚炎のかゆみのサイトカイン67中條・西村症候群
18T細胞抑制のマーカー68ステロイド内服
19食物アレルギーの抗原69弾性線維性仮性黄色腫
20疣贅状表皮発育異常症70亜鉛欠乏症
21アトピー性皮膚炎のサイトカイン71piezogenic pedal papules
22クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)72基底細胞癌
23魚鱗癬73良性上皮系腫瘍の病理
24道化師様魚鱗癬74悪性黒色腫
25長島型掌蹠角化症75悪性黒色腫
26固定性扁豆状角化症76圧痛のある皮下腫瘤のエコー
27毛孔性紅色粃糠疹77良性皮膚腫瘍のエコー所見
28アプレミラスト78メラニンの深さ
29TNFα阻害薬の禁忌79間葉細胞系母斑
30抗ヒスタミン薬の投与可能時期80ダーモスコピーの赤い所見の組織像
31貨幣状湿疹のダーモスコピー81基底細胞癌のダーモスコピー
32ハッチンソン徴候と眼部帯状疱疹82慢性蕁麻疹
33学校保健安全法83爪部Bowen病
34EBV84有痛性皮下腫瘍
35帯状疱疹ワクチン 85褐色の皮膚腫瘍
36黒色真菌症86神経線維腫のマーカー
37経口抗真菌薬87メルケル細胞がんのマーカー
38二相性真菌88デスモゾームの電顕
39黒色菌糸症89Spitz母斑
40壊死性筋膜炎の菌種90ナルフラフィン
41抗結核薬91補体活性化
42皮膚感染症92外用薬
43ハンセン病93感染症届け出
44ケジラミ94パッチテスト
45マダニ95パッチテスト
46虫刺症のアナフィラキシー96プリックテスト
47疥癬97抗体価での病勢評価
48梅毒98ヨード造影剤
49先天梅毒99保険適用薬剤
50HIV100処置コスト

 

 皮膚エコー以外では、「自己炎症性疾患」の出題が2題(第22問CAPS/第67問中條・西村症候群)あったことも近年では珍しい傾向です。

 自己炎症性疾患の中では「自己炎症性角化症」の概念が日本から提唱されており、DITRACARD14介在性乾癬(CAMPS)が代表的で本年の記述問題や2020年度に出題されています。

 自己炎症性疾患・自己炎症性角化症の出題動向には注意が必要でしょう。

 専門医試験委員会委員長である田中勝先生のコメントでは、(JDA Letter 2019-Sep 「令和元年度皮膚科専門医認定試験の概況と傾向分析」

 の正答率の低さについて言及があり今後あらためて出題される可能性が高いと考えられます。

記述問題【太字の番号は出題分野ベスト40】

番号 番号 
1ケラチノサイトの構造11アレルギー性接触皮膚炎
(サクラソウのアレルゲン)
2ネザートン症候群12ブラシュコ線
3DITRA13類表皮嚢腫
4デング出血熱14乳児血管腫
5紅色陰癬15ランゲルハンス細胞組織球症
6免疫再構築症候群16汗孔角化症
7フッ化水素17外毛根鞘嚢腫
8環状肉芽腫18maturation
9メルカーソンローゼンタール症候群19日光角化症
10好酸球性膿疱性毛包炎20発汗テスト

 2019年度の記述問題は、幅広くまんべんなく出題されている印象です。

 比較的平易な問題が多く、差がつくかもしれません。

 第11問の難易度の高さだけ目につくのは気のせいでしょうか。。

 第17問の外毛根鞘嚢腫は同じ画像ではありませんが2014年度にも出題ありでした。

まとめ

 いかがでしたか?

 この記事では、2019年度の出題傾向についてまとめました。

 今後の試験対策に生かしたいところです。

2019年度の過去問の考察は随時更新していきます。

こちらもぜひご覧ください。
皮膚科専門医試験の傾向と対策【8年分の過去問を分析】

タイトルとURLをコピーしました