問題11.紫外線について正しいのはどれか.2つ選べ.
1. 波長は400 nm以上である.
2. 波長は長い方から,UVC>UVB>UVAの順である.
3.UVAは,UVBよりも窓ガラスを通過しやすい.
4.UVAは,UVBよりも外因性光線過敏症を起こしやすい.
5.UVBは,UVAよりも真皮の深いレベルまで到達する.
本問は、紫外線の性質についての一般的な事項に関する出題でした。
紫外線は光線過敏症と切っても切れません。過去には2014年度の第3問で同様の出題があり、今後も同様の出題が予想されますね。
第11問 紫外線の性質【解答:3,4】
紫外線は、波長が短いものからUVC→UVB→UVAと定義されており、次の図や表のような特徴がわかっています。こちらの図と表を理解すれば、本問や過去問に対応可能です。
波長(nm) | 地表に届く 太陽光線中の エネルギーの割合 | ||
UVA | 320-400 (315-400) | 5.6% | ・90-99%が地表に到達 ・成層圏オゾン層で遮断されない ・長波長・低エネルギーでより皮膚深くに届く ・ガラスを通り抜ける ・UVBより皮膚深部に届く |
UVB | 290-320 (280-315) | 0.5% | ・1-10%が地表に到達 ・成層圏オゾン層で多くが遮断される ・短波長・高エネルギーで表皮上層を通り抜ける ・ガラスで遮断される |
UVC | 190-280nm (100-280) | 0% | ・成層圏オゾン層で遮断され地表には届かない ・殺虫ランプの光源 |
Solar ultraviolet radiation: Global burden of disease from solar ultraviolet radiation Environmental Burden of Disease Series, No. 13 13 June 2006| Report(WHO)
※波長の定義は光医学での定義で、()内など、そのほかの定義もあります。
また、UVAは外因性光線過敏症(薬剤や化学物質が原因の光線過敏症)の原因として頻度が高いことが知られていますね。(あたらしい皮膚科学第2版 13章 物理化学的皮膚障害・光線性皮膚疾患 3.光線過敏症 P214/Bylaite, M., J. Grigaitiene, and G. S. Lapinskaite. “Photodermatoses: classification, evaluation and management.” British Journal of Dermatology 161 (2009): 61-68.など)
というわけで、3, 4が正解になります。
今後は、赤外線の波長なども問われることがあるかもしれませんが、まずは何度も出題されている紫外線についてポイントを押さえる必要がありそうです。
参考文献
いかがでしたか?
紫外線の性質は、これまでにも出題されている項目なので、きちんと理解して得点源にしたいところですね。
- 日皮会誌:130(9),2043-2046,2020 新・皮膚科セミナリウム 太陽光線の功罪 3可視光線の功罪 森脇真一
- Narayanan, Deevya L., Rao N. Saladi, and Joshua L. Fox. “Ultraviolet radiation and skin cancer.” International journal of dermatology 49.9 (2010): 978-986.
- Solar ultraviolet radiation: Global burden of disease from solar ultraviolet radiation Environmental Burden of Disease Series, No. 13 13 June 2006| Report(WHO)
- あたらしい皮膚科学第2版 13章 物理化学的皮膚障害・光線性皮膚疾患
- Bylaite, M., J. Grigaitiene, and G. S. Lapinskaite. “Photodermatoses: classification, evaluation and management.” British Journal of Dermatology 161 (2009): 61-68.
最後に、こんな風に考えたら答えがかわるかもしれない、というご意見がありましたら、
ぜひコメント・ご意見いただけると嬉しいです。
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