病棟コミュニケーション面倒問題【コミュニケーションのルールとは】

キャリア

昨日さ、病棟に○○しといてっていったのに、全然対応してないんだよな。
ほんと言ったことくらいちゃんとやっといてよ。
そのくせ、同じこと電話でいちいち確認してくるし、
外来の時間くらい把握しといてほしいよ。

え?
私は、病棟まで行って直接伝えてるよ。
そうしたらしっかりやってくれる!

なんで、電話で伝えてるのにさらに病棟までいかないといけないんだよ。
電子カルテにも書いてるし。

病院におけるコミュニケーションの問題

あのひとはやってくれるのに、このひとはちゃんとしてない。

ちゃんとしてるかどうか、ってかなり主観に依存しますよね。

判断される側としても、自分ではちゃんとしているつもりのこともしばしば。

なぜ同じことを言っているのに、伝わらないんでしょうか。

言っただけでは伝わらない

医師はチーム医療におけるリーダー。

法律上、看護師さんをはじめとした医療関係者は原則医師の指示がなければ、医療行為をおこなうことはできません。

だからこそ、指示だしをしてコメディカルには動いてもらわないといけません。

指示を伝達する対象が機械なら、指示通りに動いてくれるでしょう。

しかし、相手は人間。

言われただけでは忘れることもあるし、指示が変わったことに気づけなければ新しい内容を理解することもできません。

学生時代から優秀といわれつづけた医師なら、一度言われたことは記憶しておくことを求められることがあるかもしれません。(それでも厳しいとは思いますが。)

ただ、それをほかの医療従事者に押し付けることはやや無理があるように思います。

仮に相手が機械だとしても、プログラミングのルールに従った方法でなければ、きちんと動いてくれません。

同じように、時間がないなかで多くの伝達をおこなうにはコミュニケーションのルールが必要です。

医療の場面でのコミュニケーションは口頭が中心

「病棟には足繫く通いなさい」

研修医になったころに言われました。

カルテで入院患者の処方を出したらトコトコトコトコ「○○さんの処方出しましたよ」
カルテで入院患者の検査の予約をいれたらトコトコトコトコ「○○さんの画像検査いれましたよ」

看護師さんは個人の PHS ではなく毎日持つ。
PHS が変わるから病棟に行って、誰がどの PHS をもっているのか確認し、電話する。
処置などでなかなかつながらないことも多い。

病棟に行けば、担当看護師がいることも多いので、これではほとんど PHS の意味がありません。

看護師さんから何か依頼があれば、上級医に伝え、対応を看護師に伝え、患者さんに伝える。

報連相は確かに大切ですが小さな変化をひとつひとつ連絡していては、いくら時間があってもできません。

人は伝書鳩ではないからです。

伝書鳩の役割をやれと言われれば、人間扱いされているとは思えず、心はすさんでしまいますよね。

単純な情報伝達まですべて口頭でおこなうと疲弊する

口頭のコミュニケーションに頼りすぎると人は消耗します。

だからこそ、人は紙をつくり、メールシステムをつくり、医療では電子カルテが登場しています。

なのに、口頭でのコミュニケーションはあらゆる場面で不可欠かのように扱う医療者は多いと思います。

もちろん、口頭でのコミュニケーションは必要です。

例えば、何か問題が生じたときに、こちらの立場を説明し、相手の考えを理解するためのコミュニケーションとしては口頭でのコミュニケーションは不可欠でしょう。

ただし、単純な情報伝達であれば不要ですし副作用のほうが大きいように思います。

余分な時間がかかりますし、その時間をほかのより価値のある業務にあてるほうが有効です。(この価値観が共有できなければコミュニケーションをかえることはむずかしいです。)

電子カルテに指示が記載されているのであれば、それを見るほうが口頭で聞くより確実だし間違いもありません。緊急のものでないのであれば、あらかじめ決まった時間に指示の変更を受け取れば問題ありません。

ただし、この「緊急のもの」という部分が人によって解釈が異なると、また口頭のコミュニケーションが連発してしまうことがあります。

結果的に、どれを電話で伝え、どれを電子カルテで伝えるか、が曖昧になり混乱を生じるのです。

また、口頭によるコミュニケーションの割合が増えてしまうと情報のストックができません。患者さんにかかわることであれば電子カルテに蓄積されますが、そのほかの業務にかかわる情報は日々流れてしまう傾向があるように思います。

具体的には、会議・病院運営にかかわることです。議事録は記載されるものの、とりあえず書いているだけ。決まったことを蓄積する場所がなく、病院内全体に伝達することもままならない。決まったときに広報するだけで、見たいときにすぐに見直すことができない。

これではチームを同じ方向に動かしていくことはままなりません。

病院にはコミュニケーションのルールがない

コミュニケーションのルールと聞くと、疑問に思われるかもしれません。

しかし、ビジネスの世界では徐々に浸透しています。

コミュニケーションルールがあると情報を伝え手・受け手の双方の理解のずれが少なくなります。
結果的にチーム全体をより早くより確実に前進させられます。

コミュニケーションにはココロが必要だ。

心と心のぶつかり稽古だ。

ルールなんかでがんじがらめにしたって駄目だ。

という方もいるかもしれません。

そもそもすべてのコミュニケーションにルールを作ることなんてできません。

作るなら、具体的には

  • コミュニケーションツール(口頭・PHS・チャットツール)の使い分けと使い方
    • どんなときに
    • だれが
    • どうやって連絡をとるのか
    • いつまでに対応することが必要なのか
  • ストック情報の管理
    • 共有する範囲(委員会・部署・病院全体・法人全体)
    • フォルダ・ファイルの場所・命名方法・編集方法

が該当します。

なにも、日々の挨拶までルールづけする必要はありません。

企業によっては「お疲れ様です。」や「お世話になっております。」などの枕詞を使わないことがルールとする組織もあると思いますが、そこまで厳格化できるかはメンバーの質にもよります。

特に、コミュニケーションツールの使い分けと使い方のルールを作っておくとこんな良いことがあります。

  1. 指摘によるストレスの軽減:誰かがルールに基づく対応をしてくれなかったときに個人的な気持ちで責めるのではなく、ルールに基づいて指摘できる
  2. 送り手の心理的負担の軽減:丁寧な対応をする場合に加減がわかっていれば「このくらいで大丈夫かな」と不安に思わずに済む
  3. 運営による改善の容易さ:ルールが厳格すぎた場合でもルールを見直すことで運用を改善できる

日々のもやもやが少しは解消されましたでしょうか。

できる限りの関係者でルールを作り運用する

あるものを「良い」「悪い」と考える基準は人によってさまざま。その価値観がぶつかりあうと対立が生まれます。

医療のように時間がないなかで対立が生じるとチームとして同じ方向に向かっていくことができなくなります

時間にゆとりがある環境で、関係者が集まって組織の理念に沿う形のルールを策定し運用することが大切です。時間がないなかでの判断を統一し無駄な対立がなくチームを同じ方向性に導くことができます。

コミュニケーションとは相手が考える「良い」「悪い」の基準を理解し着地点を見つけること

単純な情報伝達は簡素にして時間や手間を節約し、本質的なコミュニケーション(相手の「良い」「悪い」の判断基準を理解すること)に時間をかけてルールを策定し運用していくことが複数の関係者をまとめるためには必要です。

ルールを策定し言語化しておくことで、対立が生じたときに個人攻撃をすることなく、ルールベースで話し合いができ、必要があればルールを変更することで改善につなげることができます。

伝言ゲームでの指示では腹落ちしない

ルールが決まっていても、押し付けられると納得できないものです。

部門長などなるべく多くの関係者を巻き込んで作り、最終的にはトップが決断することでより納得感のあるルールが作られます。

また部門長には、メンバーに対して説明責任を果たす必要があります。なぜそのルールになったのか、他の部門の立場、組織の理念を交えて解説することで初めてメンバー個人個人の中に納得感が醸成されます。

ルールの導入の際に手間がかかりますが、組織のメンバー個人個人が納得して運用していくには必要な作業です。新しく加入するメンバーにも、あらかじめルールを説明し、同意したうえで参加してもらわなければなりません。

ルールを受け入れられない人は、残念ながらその組織とは相性が悪かった人。その個人とコミュニケーションを取り、妥協点を探れなければチームから離れることが通常です。

チームがあり、理念があり、そこに共感した人がチームに加入する。

それを徹底できなければ、組織の風土は乱れ「言ったもん勝ち」や「やらないもの勝ち」が生まれます。結果的に組織には不満が溜まり、気持ちの良い組織からは程遠いものが完成してしまうのです。

人心をまとめておくには、相応の努力が必要です。エントロピーは常に増大します。エネルギーを注いでエントロピーの増大を抑えなければチームはバラバラになってしまうのです。

もちろん簡単なことではありません。けれど、組織をより良くするには必要な作業です。

ルール作りは「組織がやりたいこと・目的」から考える

なぜその組織・チームが存在しているのか。

考えたことはありますか?

たいていの組織は理念というものがあり、そして、たいていの組織ではその理念は形骸化しています。

目的理念は「達成できないカタチだけの理想」ではありません。

社会との約束であり、顧客(患者)・従業員との約束です。

その約束をないがしろにし不誠実な態度を取ることは、メンバーが組織に貢献したいという気持ちを間違いなく消沈させます。

目的を達成するために、組織は存在し、そのなかでメンバーがお互いに協力して(コミュニケーションをとって)組織に貢献します。

ルールありきではなく、目的ありき。

目的を達成するために必要なルールとしてコミュニケーションのあり方を作っていくことが必要になります。

あなたの組織には、組織の目的をベースにしたルールはありますか?

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