乾癬の診療での算定は?【自己注射算定も解説】

皮膚科の保険算定

 乾癬は特に病院の皮膚科でよく目にする疾患で、治療の選択肢が増えてきています。

 自己注射が始まり、少しずつ算定項目が難しくなってきていますが、できればもれなく算定したいですよね。

  • 乾癬の保険算定で注意することはなに?
  • 飲み薬を使っているときの算定項目は?
  • 生物学的製剤の自己注射導入での算定の注意点は?

 といった疑問をお持ちのかたへ!

 この記事では、乾癬の保険算定での注意点について解説しています。

乾癬の診療での算定は?【処置料と管理料に分かれます】

 乾癬の診療で注意すべき保険算定は「処置料」と「管理料」に分かれます。

 処置料は1項目だけですが、管理料は3種類大切なものがあります。

点数()内はオンライン診療時
 処置料 中波紫外線療法340点
 管理料 皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ)
特定薬剤治療管理料1
在宅自己注射指導管理料 月27回以下の場合
250点(218点)
470点
650点(566点)

 まずは、処置料の「中波紫外線療法」から見ていきましょう。

中波紫外線療法【紫外線治療で毎回算定します】

中波紫外線療法【紫外線治療で毎回算定します】

 乾癬では、「中波紫外線療法」を行った場合に処置料として毎回算定します。

 中波紫外線療法はナローバンドUVBやエキシマレーザー、エキシマライトといったものがあります。

 ただ、いずれも以下の項目で算定します。

J054 皮膚科光線療法(1日につき)

  • 3 中波紫外線療法(308ナノメートル以上313ナノメートル以下)  340点

 週に3回おこなうこともありますが、患者さんの都合に合わせて頻度を決めることが多いです。

 月単位ではなく、治療を行うたびに算定できるので忘れずに算定することが大切ですね!

 ちなみに、「中波紫外線療法」は「乾癬」以外では

類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫、 悪性リンパ腫
慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症

 の治療で算定可能となっています。

 これらの疾患でも算定は処置のたびに毎回可能です。

乾癬診療での管理料【大切な項目が3種類あります】

乾癬診療での管理料【大切な項目が3種類あります】

 乾癬の診療で算定できる管理料は以下の3種類です。

 それぞれの特徴については別の記事で解説していますので是非参考にしてください。

 この記事では乾癬で算定するときの注意点について解説します。

皮膚科特定疾患指導管理料

 皮膚科特定疾患指導管理料は決められた皮膚疾患について、初診の1月後から月に1回算定できますが、以下の点に注意が必要です。

在宅自己注射指導管理料とは併算定できない

 乾癬の注射薬の自己注射をしている場合です。在宅自己注射指導管理料のほうが皮膚科特定疾患指導管理料よりも点数が高く併算定できないので、皮膚科特定疾患指導管理料ではなく在宅自己注射指導管理料のほうを算定するようにするほうがよいですね。

特定薬剤治療管理料1

 特定薬剤治療管理料は、決められた疾患と決められた薬剤について「血中濃度を測定」して投与量を管理する場合に月に1回算定できます。

 乾癬の場合には「シクロスポリン(ネオーラル)」を内服している場合に算定可能です。注意点としては、

算定のためには毎回「シクロスポリンの血中濃度測定」が必要

 という点があります。

 副作用の腎機能障害を確認するためにも、血液検査をおこなうほうがよいですね。

在宅自己注射指導管理料

 在宅自己注射指導管理料は、乾癬の注射薬を自己注射している場合に月1回算定可能です。

 以下は乾癬の注射薬の表ですが、自己注射欄に〇がついているもののみ自己注射可能です。

TNFα阻害薬 投与頻度 自己注射
アダリムマブ(ヒュミラ) 0,1週目(初回のみ倍量の80mg)
以後2週おき(40mg)
セルトリズマブ(シムジア) 2週おき
(最初の3回のみ倍量の400mg)
IL12/IL23阻害薬    
ウステキヌマブ(ステラーラ) 0,4週目
以後12週おき
(体重≧100kgや不十分なら倍量の90mg)
×
IL17A阻害薬    
セクキヌマブ(コセンティクス) 0,1,2,3,4週目
以後4週おき(300mg)
(日本の添付文書上は半減OK)
イキセキズマブ(トルツ) 0,2,4,6,8,10,12週目(倍量の160mg)
以後4週おき(80mg)
ブロダルマブ(ルミセフ) 0,1,2週目以後2週おき(210mg)
IL23阻害薬    
グセルクマブ(トレムフィア) 0,4週目
以後8週おき(100mg)
×
チルドラキズマブ(イルミア)
0,4週目
以後12週おき(100mg)
×
リサンキズマブ(スキリージ) 0,4週目
以後12週おき(150mg)
(半減OK)
×

 注意点は以下の通りです。

皮膚科特定疾患指導管理料とは併算定できない

 皮膚科特定疾患指導管理料よりも在宅自己注射指導管理料のほうが点数が高いのでこちらを算定するのがよいですね。

 また、注射薬を使用していても自己注射をせずに外来で注射をしている場合には在宅自己注射指導管理料の算定ができないということにも注意が必要です。

 導入のスケジュール導入初期加算、併算定可能なこともある在宅療養指導料については以下の記事でまとめています。

 皮膚科の在宅自己注射指導管理料【加算についても解説】

まとめ

まとめ

 いかがでしたか?
 最後にまとめです。

  • 乾癬での保険算定は「紫外線療法」と「管理料」に分かれる。
  • 管理料は「皮膚科特定疾患指導管理料」・「特定薬剤治療管理料」・「在宅自己注射指導管理料」の3種類
  • 皮膚科特定疾患指導管理料と在宅自己注射指導管理料は併算定できない
  • 特定薬剤治療管理料の算定には「シクロスポリンの血中濃度測定」が必要

 自己注射の選択肢が増えて乾癬での保険算定は複雑になっていますが、少しでもお役に立てればうれしく思います。

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