2019年度皮膚科専門医試験 第1問 特発性後天性全身性無汗症

皮膚科専門医試験

問題1.特発性後天性全身性無汗症において認められる頻度が最も低いのはどれか.

1. 腋窩の発汗
2. 血清IgE 値の上昇
3. 掌蹠の精神性発汗
4. 発汗時の皮膚のピリピリする痛み
5. 病理組織像で汗腺周囲の好酸球浸潤

  特発性後天性全身性無汗症(AIGA)についての出題です。

 「多汗症・減汗症・無汗症」については、ほぼ毎年出題されていますので、頻出項目ですね。

第1問 特発性後天性全身性無汗症【解答:5】

解答:5

 診断基準を確認すると答えが一目瞭然です。

特発性後天性全身性無汗症(AIGA)の診断基準
A.明らかな原因なく後天性に非髄節性の広範な無汗/減汗(発汗低下)を呈するが、発汗以外の自律神経症候及び神経学的症候を認めない。
B.ヨードデンプン反応を用いたミノール法などによる温熱発汗試験で黒色に変色しない領域もしくはサーモグラフィーによる高体温領域が全身の 25%以上の範囲に無汗/減汗(発汗低下)がみられる。

参考項目
1.発汗誘発時に皮膚のピリピリする痛み・発疹(コリン性蕁麻疹)がしばしばみられる。
2.発汗低下に左右差なく、腋窩の発汗ならびに手掌・足底の精神性発汗は保たれていることが多い。
3.アトピー性皮膚炎は AIGA に合併することがあるので除外項目には含めない。
4.病理組織学的所見:汗腺周囲のリンパ球浸潤、汗腺の委縮、汗孔に角栓なども認めることもある。
5.アセチルコリン皮内テスト又は QSART で反応低下を認める。
6.抗 SS-A 抗体陰性、抗 SS-B 抗体陰性、外分泌腺機能異常がないなどシェーグレン症候群は否定する。

<診断のカテゴリー>
A+Bをもって AIGA と診断する。

血清総 IgE 値測定:IPSF では血清総 IgE 値が高値の場合がある

難病情報センター 特発性後天性全身性無汗症 概要・診断基準等 
https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_files/File/163-201704-kijyun.pdfより

1. 腋窩の発汗〇
2. 血清IgE 値の上昇〇
3. 掌蹠の精神性発汗〇
4. 発汗時の皮膚のピリピリする痛み〇
5. 病理組織像で汗腺周囲の好酸球浸潤×(〇リンパ球浸潤)

 今後も同様の出題がありえるので、診断基準を含めて理解しておくとよいかもしれません。

出典・参考文献

出典・参考文献

 選択肢は、すべて「難病情報センター」の「特発性後天性全身性無汗症」の概要・診断基準等に記載されている項目でした。

 また、文献としてはJDから2017年にガイドラインが発表されています。

  • 難病情報センター 特発性後天性全身性無汗症 概要・診断基準等 
  • Munetsugu, Takichi, et al. “Revised guideline for the diagnosis and treatment of acquired idiopathic generalized anhidrosis in Japan.” The Journal of Dermatology 44.4 (2017): 394-400.

 最後に、こんな風に考えたら答えがかわるかもしれない、というご意見がありましたら、
ぜひコメント・ご意見いただけると嬉しいです。

→次問題 2019年度 第2問 IL-17A阻害薬の有害事象

他の問題についてもこちらでまとめています。

コメント

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