皮膚科の顕微鏡検査での算定は?【真菌(KOH)とツァンク試験】

皮膚科の保険算定

 顕微鏡検査は、皮膚科の診療の日々で必ず行われる検査です。

 皮膚科の検査としては最も算定する頻度が高いと思います。

 日々の診療、仕事をおこなっていると、

  • 皮膚科の顕微鏡検査ってなに?
  • どんなときに顕微鏡検査をするの?
  • 検査をすれば何が算定できるの?
  • どれくらいの保険点数になるの?
  • レセプト病名は?

 という疑問がわいてきませんか?

 この記事ではその疑問にお答えしています。

皮膚科の顕微鏡検査とは?【皮膚科保険診療の必須知識】

皮膚科の顕微鏡検査(KOH)とは?

 皮膚科の顕微鏡検査は2種類です。

  1. 水虫の検査
  2. ヘルペスウイルスの検査

1つ目は水虫の検査

 医療事務のかたは、「真菌検査やったよ~」といわれたり、「KOHとっといて!」といわれたりして混乱することもあるかもしれませんが、すべて同じ検査です。水虫以外でも、癜風や爪水虫、陰部のカンジダ症などで行われます。

2つ目は、ヘルペスウイルスの検査

 「ツァンク試験」と呼ばれます。ギムザ液というものを用いて検体を染めてから顕微鏡をみます。医師が「巨細胞があった」と言うことがあればこの検査で陽性の結果だったということです。口唇ヘルペス帯状疱疹といった病気でおこないます。

顕微鏡検査の算定は?【算定回数・施設・部位に注意】

顕微鏡検査の算定は?

 2種類の顕微鏡検査では、算定項目が以下のように異なります。

・水虫の検査
 D017 排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査
  3 その他のもの

61点
 D026 検体検査判断料
  7 微生物学的検査判断料(月1回まで算定可能)

150点
・ヘルペスの検査
 N004  細胞診
  2 穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等

190点
 N006 病理診断料
  2 細胞診断料(月1回まで算定可能)

200点

 判断料・診断料については、検査のコストをとると自動的に登録されるカルテ・レセコン(保険算定を処理するパソコン)もあると思います。

 手動でコストをとる必要があるのかどうかは、それぞれの医療機関ごとに確認するのがよいですね。

 そのほか、外来迅速検体検査加算といって、検査当日に検査結果を文書を使って説明した場合には10点が追加で算定できます。

算定回数

 水虫の検査(D017)もヘルペスの検査(N004)も検査をおこなえば、そのたびごとに検査料を算定することが可能です。

 ただし、D026検査判断料N006の2細胞診断料月に1回までの算定になるので、同じ月の2回目の水虫の検査では、検査料の61点のみ、ヘルペスの検査では同様に検査料の190点のみ算定となります。

細胞診断料を算定できる医療機関

 細胞診断料については、「病理診断を専門とする医師が勤務している医療機関」でのみ算定可となっています。

 病理診断を専門とする医師が勤務していない医療機関で、ヘルペスの顕微鏡検査を算定する際には検査料のみの算定となってしまいます。

 水虫の顕微鏡検査には医療機関による算定の条件はありません。

算定できる部位の数

 水虫の検査については、同日に2か所以上行った場合でも1回分しか算定できないので注意が必要です。

 ヘルペスの検査は部位ごとに算定が可能ですが、近接部位で2か所の検査をおこなった場合には1回分しか算定できません。

そのほかの検査や処置の部位ごとの算定については次の記事でまとめています。
部位ごとの算定できる?できない?【皮膚科の検査と処置】

その他のヘルペスの検査【抗原検査】

 ちなみに、ヘルペスの検査には、顕微鏡検査(ツァンク試験)以外でも、以下のような抗原検査もあります。

 「ツァンク試験」は少量の検査液(ギムザ液)のみで行えて安価なので抗原検査と比べて医療機関側の収益も大きくなります。

顕微鏡検査のレセプト病名は?

顕微鏡検査のレセプト病名は?

 保険請求は、病名とセットでおこない、審査機関の判定を受けます。

 病名に適した検査でなければ、「査定」を受け、費用が支払われません。

  • 水虫の検査
    • 足白癬・爪白癬などの「~白癬」
    • 皮膚カンジダ症
    • 癜風(でんぷう)
  • ヘルペスの検査
    • ヘルペスウイルス感染症

 病名は、上記に限りませんが、水虫の検査には真菌感染(カンジダや癜風)の病名が必要になります。

 ちなみに、「天疱瘡」という病名でもツァンク試験の保険適応がありますが、あまり使われないことが多いです。

まとめ

  • 皮膚科の顕微鏡検査は「水虫」と「ヘルペス」の2種類
  • 判断料・診断料は月に1回まで算定可能
  • ヘルペスの顕微鏡検査で算定できる細胞診断料は、算定できる医療機関が限られる

 顕微鏡検査は皮膚科で一番多い検査なので、どんなときに算定するのかを知っておくと、日常の業務が簡単になりますね。

他の検査についてはこちらにまとめています。

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