問題 3.全身または局所の多汗を伴いやすいのはどれ か.3 つ選べ.
1. 妊娠
2. 糖尿病
3. 腋臭症
4. コリン性蕁麻疹
5. アトピー性皮膚炎
多汗症と乏汗症に関する出題です。
過去には2013年の第1問で乏汗症の鑑別が出題されており、多汗症・乏汗症の鑑別は頻出問題と考えてよいと思います。
第3問 多汗症・乏汗症の鑑別【解答:1,2,3】
あたらしい皮膚科学(第3版)の本文と表をまとめると以下のようになります。
(太字:過去問の選択肢)
多汗症 | 乏汗症 | |
全 身 性 |
妊娠、肥満、特発性全身性多汗症 甲状腺機能亢進症、糖尿病、低血糖 感染症 神経変性疾患(Parkinson病) 悪性リンパ腫 薬剤 (解熱薬、ステロイド、向精神薬) |
無汗性外胚葉形成異常症、先天性無痛無汗症 甲状腺機能低下症、脱水症、熱射病、Fabry病 神崎病、糖尿病 体温調節中枢ないし脊髄の障害 アルコール性神経炎 ハンセン病、特発性後天性全身性無汗症、魚鱗癬 脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、紅皮症、乾癬 強皮症、シェーグレン症候群、皮膚老化 |
局 所 性 |
アトピー素因、掌蹠角化症 半身不随、Parkinson病 末梢神経の片側障害 |
神経障害 |
今回の選択肢である、「腋臭症」と「コリン性蕁麻疹」についてはこれらの表では解決できないので追加で解説します。
腋臭症については、臭汗症osmidrosisに含まれます。体臭についてのレビューでは、
Because there is an excessive amount of water in which bacteria can grow, hyperhidrosis is often accompanied by bromhidrosis or osmidrosis or offensive body odour. Both conditions can be treated by topically applying anti-perspirant and deodourant products.
Kanlayavattanakul, M., and N. Lourith. “Body malodours and their topical treatment agents.” International journal of cosmetic science 33.4 (2011): 298-311.
と、「多汗による細菌増殖と臭いの関係」について触れられています。
コリン性蕁麻疹については、第1問の特発性後天性全身性無汗症(AIGA)と関連しており多汗との関連はないように思われます。
多汗症と乏汗症について、レビューを検索したところ以下の二つのおすすめレビューがありましたので、そちらのレビューの表を引用します。
多汗症
乏汗症
これらのレビューによると、糖尿病は、多汗症にも乏汗症にもなりえるみたいで、今回の問題の選択肢は少しややこしいですね。
出典・参考文献
多汗症・乏汗症の鑑別について解説しました。
表を頭に入れて、頻出問題は確実に正解したいですね。
- あたらしい皮膚科学 第3版 P362-363
- Kanlayavattanakul, M., and N. Lourith. “Body malodours and their topical treatment agents.” International journal of cosmetic science 33.4 (2011): 298-311.
- Nawrocki, Shiri, and Jisun Cha. “The etiology, diagnosis, and management of hyperhidrosis: A comprehensive review: Etiology and clinical work-up.” Journal of the American Academy of Dermatology 81.3 (2019): 657-666.
- Chia, K. Y., and H. L. Tey. “Approach to hypohidrosis.” Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology 27.7 (2013): 799-804.
最後に、こんな風に考えたら答えがかわるかもしれない、というご意見がありましたら、
ぜひコメント・ご意見いただけると嬉しいです。
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