病院には、定食屋さんのようなメニュー表がありません。
治療をしたいけれど、どれくらい費用がかかるのかは、気になりますよね。
特に、ラミシールやイトラコナゾールなどの薬代は、飲み薬の種類によって10倍も違うことがあるので、注意が必要です。
- 爪水虫の治療費はいくら?
- 爪水虫の検査費用は?
- 爪水虫の薬代はどれくらいかかるの?
といった疑問にお答えします!
※注意:多くの方の自己負担は3割なので、自己負担が3割の値段で説明します。
爪水虫の治療費はいくらかかるのか?
ずばり、初診なら3000円程度、再診なら1700円程度です。
初診の場合は、「初診料(900円)」・「処方箋料(200円)」・「顕微鏡検査(600円)」「採血検査(1300円)」の合計で、
再診の場合は、「再診料(200円)」・「処方箋料(200円)」・「採血検査(1300円)」の合計で計算しています。
これらに加えて、「培養検査(930円)」が加わることもあります。
顕微鏡検査の回数、採血検査の「ありなし」やタイミング、一回目の診察で処方をするのか、処方箋のありなしでズレが生じることがありますが、概ねこのくらいの費用がかかります。
爪水虫治療での検査費用は?【顕微鏡検査と採血検査があります】
爪水虫の治療に必要な検査は「顕微鏡検査」と「採血検査」です。
「顕微鏡検査」は爪に水虫(白癬菌=はくせんきん、といいます)がいるかどうかを、爪を削って直接顕微鏡で見る検査で、基本的に必須の検査です。
「採血検査」は飲み薬の治療をする前に副作用がでやすくないか、飲み薬を始めた後に副作用がでていないか確認するための検査です。
ちなみに「培養検査」は必須ではないですが、どの白癬菌か調べるためにおこなうことがあります。(おこなうことでより適切な飲み薬を選択できることがあります)
爪水虫の顕微鏡検査
爪水虫以外でも爪の異常をきたす病気があるので、水虫が見つけられていないのに水虫の治療を始めてしまっては大変です。
ただ、爪水虫であっても1回の検査で陽性となるのは30%程度とされているので、陰性であっても3回までは検査をおこなったほうがよいという報告もあります。(Lipner, Shari R., and Richard K. Scher. “Onychomycosis: clinical overview and diagnosis.” Journal of the American Academy of Dermatology 80.4 (2019): 835-851.)
そのため、治療をおこなうまでの間に複数回の顕微鏡検査を行うことがあり、その場合にはそのたびに600円程度が検査費用としてかかります。
爪水虫の採血検査
採血検査は、飲み薬の副作用チェック(特に肝臓の値の確認)のためにおこないます。
爪水虫の飲み薬の主な副作用として、肝臓の値が上がることがあり、その場合には飲み薬をやめて元の値まで戻ることを確認する必要があります。
もともとの値と比べるために、飲み始める前にも採血をおこない飲み始めてからも月に1回程度、採血をおこなうことがほとんどです。
肝臓以外でも副作用がおこることがあるので一般的な採血として毎回750-1300円程度が費用に加わります。
爪水虫の薬代は?
爪水虫の薬は、塗り薬もありますが塗り薬の効果は限定的でかなり軽症で病変が少ないときは使うことがあります。
塗り薬 | 薬価 | 1本 | 1カ月負担 | 3カ月負担 |
クレナフィン | 1578.3円/g | 3.56g=4ml 5枚の爪で2週間分 | 1本 1685円 | 3本 5056円 |
ルコナック | 916.7円/g | 3.5g=4ml 10枚の爪で2週間分 | 1本 962円 | 3本 2887円 |
クレナフィンのデータでは、1年間塗り続けても完全に治るのは15-17%と報告されていて塗り薬で完全に治すことを目標にするのは難しいです。(Eisman, Samantha, and Rodney Sinclair. “Fungal nail infection: diagnosis and management.” Bmj 348 (2014): g1800.)
そのため、爪水虫の治療には飲み薬が基本です。
飲み薬 | 薬価 | 1日 | 1カ月負担 | 3カ月負担 |
ラミシール錠 | 1錠125mg 159.5円 | 1-2錠 (適宜増減) | 1300-2700円 | 3900-8100円 |
テルビナフィン錠 (ジェネリック) | 1錠125mg 86.8円 | 1-2錠 (適宜増減) | 720-1500円 | 2160-4500円 |
イトリゾール カプセル | 1カプセル50mg 262円 | 1-2カプセル もしくは 1日8カプセル を1カ月に1週間連続 (パルス療法) | 2250-4400円 もしくは 4500円 | 6750-13200円 もしくは 13500円 |
イトラコナゾール錠 (ジェネリック) | 1錠50mg 113.9円 | 1-2カプセル もしくは 1日8錠を 1カ月中1週間連続 (パルス療法) | 960-1920円 もしくは 2200円 | 3000-6000円 もしくは 6600円 |
ネイリンカプセル | 100mg 817.1円 | 100mg/日 | 7600円 | 22800円 |
日本で爪水虫の飲み薬として使用できるのは、「ラミシール(テルビナフィン)」、「イトリゾール(イトラコナゾール)」、「ネイリン」の3種類です。()内はジェネリックの名称です。
3-4カ月の治療となることがほとんどです。
3カ月の治療だと2160円-22800円と薬の種類によってかなり値段の幅があります。
「ネイリン」は2018年に新しく発売された新薬で長期的な副作用はわかっていませんが、「ラミシール」と「イトリゾール」は歴史が長く効果や副作用についてもよくわかっている薬です。いずれも肝臓の値が上昇することがありその場合には内服を中止する必要があることがあります。
「イトリゾール(イトラコナゾール)」は、ほかのお薬との飲み合わせによっては飲むことができない場合があるので医師の確認が必要になります。
「イトリゾール(イトラコナゾール)」は、「パルス療法」といって「1週間毎日400mg内服して3週間休薬すること」を1クールとしてこれを3-4クール繰り返す治療を行うことがあります。
「パルス療法」で内服する場合には肝臓への副作用が起こることが少なく、海外では採血で値を確認しなくてもよいという意見もあります。(Eisman, Samantha, and Rodney Sinclair. “Fungal nail infection: diagnosis and management.” Bmj 348 (2014): g1800.)
「イトラコナゾール錠」は「イトリゾール」のジェネリック(後発品)で様々な製薬会社が製造しています。
その一つである小林化工の「イトラコナゾール錠50『MEEK』」について、睡眠薬の混入があり「めまいやふらつき、意識障害」が出現し2020年12月に薬剤が自主回収されましたが、これらの症状は爪水虫の飲み薬(ほかの製薬会社が製造する「イトラコナゾール錠」を含めて)の一般的な副作用ではありません。
まとめ
- 爪水虫の費用は初診なら3000円程度、再診なら1700円程度
- 治療開始前の顕微鏡検査は1回600円程度
- 副作用チェックの採血検査は1回750-1300円程度
- 爪水虫の薬は塗り薬ではなく、基本は飲み薬
- 爪水虫の飲み薬の費用は3カ月で2160円-22800円と幅がある
いかがでしたか?
飲み薬はどれを使用するかによって値段が大きく変わりますので、治療を開始する前に医師と相談するのがよいですね。
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