皮膚科で出会う患者さんの中にも天疱瘡や類天疱瘡など難病のかたが少なからずいらっしゃいます。
特に、病院の皮膚科には難病のかたが皮膚科を受診することも多いです。
そんな場合に算定できる可能性があるのが、難病外来指導管理料です。
- 難病外来指導管理料ってなに?
- 皮膚科の難病って、どんなものがあるの?
- 難病外来指導管理料はどんなときに算定できて、どんなときに算定できないの?
- オンライン診療では算定できるの?
といった疑問をお持ちのかたへ!
この記事は皮膚科の診療での難病外来指導管理料について解説しています。
皮膚科での難病外来指導管理料の算定
B001 7 難病外来指導管理料 | 270点 |
難病外来指導管理料は、定められた難病の管理をおこなう場合に初診の1カ月以上あとから月に1回算定できます。
難病については、厚生労働省によって「指定難病」として定められているものをいいます。
指定難病であっても、軽症であれば難病による助成の受給要件を満たさず、難病外来指導管理料を算定できません。
難病外来指導管理料を算定できるのは、難病の医療費助成の受給証を受ける資格のある患者さんのみです。
算定できる難病とは?
皮膚科で関連のある指定難病は以下の通りです。
これらの病気の患者さんを診療する場合には難病外来指導管理料を算定できる可能性があります。
ただし、それぞれの疾患の重症度分類で助成の対象とならない場合には難病外来指導管理料は算定できません。
それぞれの疾患の重症度分類については難病情報センターのウェブサイトの
「各々の指定難病の概要・診断基準等」
に記載されています。
リンク先は各疾患の概要・診断基準等です。
- 16:クロウ・深瀬症候群
- 19:ライソゾーム病
- 28:全身性アミロイドーシス
- 34:神経線維腫症
- 35:天疱瘡
- 36:表皮水疱症
- 37:膿疱性乾癬(汎発型)
- 38:スティーブンス・ジョンソン症候群
- 39:中毒性表皮壊死症
- 41:巨細胞性動脈炎
- 42:結節性多発動脈炎
- 43:顕微鏡的多発血管炎
- 44:多発血管炎性肉芽腫症
- 45:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
- 47:バージャー病
- 48:原発性抗リン脂質抗体症候群
- 49:全身性エリテマトーデス
- 50:皮膚筋炎・多発筋炎
- 51:全身性強皮症
- 52:混合性結合組織病
- 53:シェーグレン症候群
- 54:成人スチル病
- 55:再発性多発軟骨炎
- 56:ベーチェット病
- 65:原発性免疫不全症候群
- 84:サルコイドーシス
- 89:リンパ脈管筋腫症
- 104:コステロ症候群
- 106:クリオピリン関連周期熱症候群
- 108:TNF受容体関連周期性症候群
- 110:ブラウ症候群
- 116:アトピー性脊髄炎
- 123:禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症(CARASIL)
- 124:皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)
- 130:先天性無痛無汗症
- 157:スタージ・ウェーバー症候群
- 158:結節性硬化症
- 159:色素性乾皮症
- 160:先天性魚鱗癬
- 161:家族性良性慢性天疱瘡
- 162:類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む。)
- 163:特発性後天性全身性無汗症
- 164:眼皮膚白皮症
- 165:肥厚性皮膚骨膜症
- 166:弾性線維性仮性黄色腫
- 167:マルファン症候群
- 168:エーラス・ダンロス症候群
- 169:メンケス病
- 171:ウィルソン病
- 186:ロスムンド・トムソン症候群
- 191:ウェルナー症候群
- 192:コケイン症候群
- 195:ヌーナン症候群
- 227:オスラー病
- 232:カーニー複合
- 254:ポルフィリン症
- 266:家族性地中海熱
- 267:高IgD症候群
- 268:中條・西村症候群
- 269:化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群
- 270:慢性再発性多発性骨髄炎
- 281:クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
- 289:クロンカイト・カナダ症候群
- 300:IgG4関連疾患
- 325:遺伝性自己炎症疾患
- 331:特発性多中心性キャッスルマン病
- 333:ハッチンソン・ギルフォード症候群
難病外来指導管理料はどんなときに算定できるの?
- 初診の1カ月後から算定可能
- 重症度分類で決められた重症度以上の指定難病の患者で算定可能
- 指定難病の受給者証を申請していなくても決められた重症度以上の指定難病患者で算定可能
- 情報通信機器を用いた診察(オンライン診療など)でも、月1回235点で算定可能
- 在宅自己注射指導管理料とは併算定可能
指定難病の受給者証の申請(いわゆる難病申請)をしていない場合でも、
「重症度分類で基準を満たしており受給者証を受ける資格がある患者」
であれば難病外来指導管理料の算定が可能となっています。
また、難病外来指導管理料は、オンライン診療でも算定可能(月1回235点)な指導管理料となっています。
難病外来指導管理料はどんなときに算定できないの?
- 皮膚科特定疾患指導管理料を算定している場合には算定できない
皮膚科では、「天疱瘡・水疱性類天疱瘡・エリテマトーデス」の場合には皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ)250点を月1回算定可能です。
しかし、「天疱瘡・類天疱瘡・全身性エリテマトーデス」で指定難病の重症度分類で基準を満たしている場合には、より点数の高い難病外来指導管理料270点の算定をおこなうほうがよいかもしれませんね。
まとめ
- 難病外来指導管理料は月1回、重症度分類で基準を満たしている指定難病で算定可能
- 基準を満たしていれば、受給者証の申請がなくても算定可能
- オンライン診療では月1回、235点で算定可能
- 皮膚科特定疾患指導管理料とは併算定不可
いかがでしたか?
指定難病の重症度分類は疾患ごとに違っていて複雑ですが、類天疱瘡など皮膚科で比較的出会う疾患については皮膚科特定疾患指導管理料よりもこちらのほうが点数も高いのでしっかりと難病外来指導管理料を算定できるといいですね。
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