日本で皮膚科専門医を取得するためには、医局に所属することがほとんどです。
僕も皮膚科専門医を目指していますが、これから皮膚科に進もうと考えている方は、
・入局後の給料は?
・どんな仕事をするの?
・人事はだれが決めるの?
といった疑問がでてきませんか?
この記事では、それらの疑問にお答えしています!
皮膚科の医局とは
医局とは、一般に医学科がある大学で、診療科ごとに作られているものです。
医局に入ることを「入局」といいますが、大学によっては、とくに書類はなく、口約束で入局ということもあります。
2016年以降に医師免許を取得した方は、新専門医制度で皮膚科専門医をめざすことになります。その際には、初期研修と同様に、マッチング制度を利用することになります。
専門医制度のマッチングは、初期研修2年目の夏から秋におこなわれるので、その時点では、どこの医局に入局するか決めておくことが大切になります。
逆算すると、初期研修1年目の終わりごろから、2年目の春ごろまでには、見学や面接をしておくほうがよいですね。
新専門医制度では、とくに入局が必須というわけではありませんが、大学のプログラムを選択する場合には必然的に入局をすることになると考えてよいでしょう。
そのため、「プログラムで研修する病院」と「医局から派遣される病院」は同じということですね。
入局後の給料は?
「皮膚科専門医をめざして、入局した!」
「がんばるぞ!」
という気持ちはもちろん大切ですが、お仕事でもありますからお金のことは気になりますよね。
ずばり、大学からの給料は、とくにポスト(助教など)がない限り、額面で月20-35万円です。そこから、税金や社会保険料が引かれます。市中の病院の3-4年目の医師と比べると半分以下といったところでしょうか。
ただし、非常勤のアルバイトを紹介してもらえるのが一般的ですので、大学からの給料に加えて、月10-15万円程度は収入がえられることが多いです。
それでも市中病院の同学年の医師よりは少なくなることが多く、勉強代と考えるしかありませんね。
仕事内容は?
はじめは、大学病院での勤務から始まることが多いです。
当たり前ですが、皮膚科に入ったといっても、すぐに皮膚科の診療ができるようになるわけではありません。上の先生とともに、入院患者を担当したり、外来の診療の手伝いをすることがメインの仕事になります。
以下のことができるようになれば、皮膚科外来を始められると思います。
- KOHによる真菌の鏡検(顕微鏡の使い方)
- ステロイドの塗り薬の種類と使い方
- 皮膚生検の方法
- パッチテストやプリックテストの方法
- 皮膚病理の基本
最低限は、KOHができるようになることが目標です。それができれば、最低限の診療はできるようになります。あとは、教科書や論文で勉強です。
コツは、何度も検査をおこなって、上級医にも結果を確認してもらうようにお願いすることです。
人事は?【医局長の仕事は?】
医局によっては、入局して数か月、遅くても2年目からは、関連病院に派遣されることになります。
その行き先を決めるのは、基本的には「教授」ですが、その調整役が「医局長」です。医局によっては、「医局長」に人事を一任されている場合もあるかもしれません。
関連病院のなかには、忙しい(「勉強になる」とも表現されます)病院や、変わった先生(「面倒見の良い」「個性的」とも表現されます)がいる病院もあります。地方の病院の場合もあります。
産休や育休があったり、体調を崩した先生がいると、急に人事で派遣される場合もあります。
指示された病院には、基本的に行かなければなりません。
(子育てなどは配慮されることがあります)
引っ越し代は医局から出ることはありません。
(派遣される先の病院が引っ越し手当を用意していることはあります。)
「医局長」も患者や研究を抱える医師ですから、普段の業務に加えて人事の調整をするのはとっても大変ですし、全員の希望を叶えることはかなりむずかしいので、その心労は想像に難くありません。(まったく苦にしないかたもいらっしゃいますが。。)