パッチテストは特定のものが原因で湿疹・かぶれができているかどうかを調べる検査です。
- パッチテストってどんな検査?
- パッチテストの保険算定はどうなっているの?
- 材料費の算定はどうするの?
- パッチテストの種類はどんなものがあるの?
といった疑問をお持ちの方へ!
この記事ではパッチテストの保険算定について解説しています。
皮膚科のパッチテストの保険算定は?
算定項目 | 点数 |
D291 皮内反応検査、薬物光線貼布試験、最小紅斑量(MED)測定 1 21箇所以内の場合(1箇所につき) 2 22箇所以上の場合(1箇所につき) | 16点 12点 |
表の項目で算定し、検査の箇所数に応じて算定点数が決まります。
診療報酬の留意事項によると、22箇所以上の検査をした場合、22箇所目以降のみ 12 点で算定する決まりになっています。
【算定の例】
例えば、24箇所の検査を行った場合をみてみましょう。
21箇所までは、16点、22箇所目以降は12点なので、
21 箇所 × 16 点 =336 点
+
3 箇所 × 12 点 =36 点
=372 点
のように算定することになります。
検査のスケジュールとしては、検査開始の2日後、3日後、7日後に来院いただき結果を確認しますが算定できるのは経過を通して1回です。もちろん、診察料としての再診料は来院のたびに算定可能です。
ちなみに、
皮内反応検査とは、
ツベルクリン反応、各種アレルゲンの皮膚貼布試験(皮内テスト、 スクラッチテストを含む。)等
と定められており、パッチテストだけでなく、プリックテストやスクラッチテストも同様の方法で算定します。
材料費の算定は?
材料費ももちろん算定可能です。
D500 薬剤
薬価が15円を超える場合は、薬価から15円を控除した額を10円で除して得た点数につき1点未満の端数を切り上げて得た点数に1点を加算して得た点数とする。
注1 薬価が15円以下である場合は、算定しない。
注2 使用薬剤の薬価は、別に厚生労働大臣が定める。
と定められています。
例えば、とある薬剤の薬価が115円であれば、(115-15)÷10=10で10点で算定するということになります。
では、使用する薬剤はどのようなものがあるでしょうか。
パッチテストの種類は?【主なものは2種類です】
湿疹の原因となるものに心当たりがある場合にはその原因物質を用いて検査をおこないますので、数か所の検査となります。
心当たりがない場合におこなうパッチテストは主に2種類で、日本人に頻度の高いアレルギーの原因物質を検査する「ジャパニーズスタンダードアレルゲン」と金属アレルギー全般を検査する「金属パッチテスト」があります。
ジャパニーズスタンダードアレルゲン【24種類】
ジャパニーズスタンダードアレルゲンは、日本人に頻度の高いアレルギー(接触皮膚炎)の原因物質のリストで、24種類のアレルゲンが定められています。
保険適応となっている薬剤は、「佐藤製薬のパッチテストパネル®(S)」と「鳥居製薬が製造している2種類の試薬」です。
「パッチテストパネル®(S)」は24種類のうち22種類(写真では24か所ありますが、このうち9番と18番の2か所は物質がない陰性コントロール)の試薬が含まれています。
ジャパニーズスタンダードアレルゲン全部の検査を行うには、鳥居製薬が製造している「ウルシオール」と「塩化第二水銀」の2種類の試薬を追加する必要があります。(こちらも保険適応です。)
これら24種類に加えて、「精製水」と「白色ワセリン」による陰性コントロール(アレルギーがないと考えられるもの)を使用して26か所が検査箇所数になります。(医療機関によってはウルシオール、塩化第二水銀の用意がなく精製水、白色ワセリンも使用しないこともあるかもしれません。その場合は22か所が検査箇所数です。)
ジャパニーズスタンダードアレルゲンの検査は
D291 1. 21箇所以内の場合(1箇所につき)16点 × 21 箇所=336 点
D291 2. 22箇所以上の場合(1箇所につき)12点 × 5 箇所= 60 点
の合計 396 点で算定することになります。
(※ウルシオールと塩化第二水銀がなければ16点×21箇所+12点×3箇所=372点)
薬剤料としては以下の算定となります。
アレルゲン | 薬剤料 |
パッチテストパネル®(S) | 1577点 |
パッチテスト試薬ウルシオール0.002% | 81点/g |
パッチテスト試薬金属塩化第二水銀0.05% | 81点/g |
精製水 | 1点/ml |
白色ワセリン | 1点/g |
試薬は多くても1回0.5-1g程度です。わからない場合には検査をする医師に尋ねるのが良いと思います。
まとめると、検査料としては396点、薬剤料として最大1741点の算定と考えてよいでしょう。
金属パッチテスト【17種類】
金属パッチテストは鳥居製薬の試薬に保険適応があり、以下の17種類でおこなうことが一般的です。
アレルゲン | 薬剤料 |
パッチテスト試薬金属塩化亜鉛2% | 81点/g |
パッチテスト試薬金属四塩化イリジウム1% | |
パッチテスト試薬金属塩化金酸0.2% | |
パッチテスト試薬金属塩化第二水銀0.05% | |
パッチテスト試薬金属硫酸ニッケル5% | |
パッチテスト試薬金属硫酸クロム2% | |
パッチテスト試薬金属重クロム酸カリウム0.5% | |
パッチテスト試薬金属臭化銀2% | |
パッチテスト試薬金属塩化マンガン2% | |
パッチテスト試薬金属塩化パラジウム1% | |
パッチテスト試薬金属塩化白金酸0.5% | |
パッチテスト試薬金属塩化第二鉄2% | |
パッチテスト試薬金属塩化第二スズ1% | |
パッチテスト試薬金属塩化コバルト2% | |
パッチテスト試薬金属塩化アルミニウム2% | |
パッチテスト試薬金属硫酸銅1% | |
パッチテスト試薬金属三塩化インジウム1% | |
白色ワセリン | 1点/g |
こちらも陰性コントロールとして白色ワセリンを使うので合計は18か所となります。
21か所未満の場合には1箇所につき16点なので検査料の保険算定は16×18点=288点、薬剤料はそれぞれ1g使用すると最大1378点となります。
まとめ
いかがでしたか?
- パッチテストは湿疹・かぶれの原因物質を調べる検査で主なものは2種類
- 検査料は21箇所以下では16点/1箇所、22箇所目以降は12点/1箇所で算定
- 薬剤料も算定可能
- ジャパニーズスタンダードアレルゲンは26か所(検査料396点、薬剤料1741点)
- 金属パッチテストは18か所(検査料288点、薬剤料1378点)
薬剤料はしっかりと算定しないと医療機関の持ち出しとなってしまいますし、検査料よりもかなり多いので忘れずに算定できればよいですね。