問題 4.角層には天然保湿因子(natural moisturizing factor)が含まれている.その主成分はどれか.
1. 乳酸
2. セラミド
3. アミノ酸
4. 分泌型 IgA
5. 低級脂肪酸
角層の天然保湿因子(NMF)についての出題です。
皮膚の機能と構造については度々出題されていますね。
保湿といえば、セラミドかな、と思って選択すると誤答となってしまいます。
僕は初見では間違えました。。
第4問 天然保湿因子(NMF)【解答:3】
天然保湿因子(NMF)は、「フィラグリン」の分解産物で、NMFの構成要素については以下のようになっています。
天然保湿因子(NMF)の構成要素は
- 自由アミノ酸 40%
- カルボキシル酸・乳酸 12%
- 糖・無機物酸・ペプチド 8.5%
- 尿素 7.0%
となっていますので、解答は3のアミノ酸、ということになります。
同じレビューによるともともと天然保湿因子(NMF)は、
- 「角層の水分保持をするための水溶性化合物」であり、
- 水分保持により、
- 「皮膚の可塑性を維持し(角化細胞間の摩擦を抑える)」、
- 「角層の脱落のための加水分解酵素を機能させ」、
- 「皮膚バリアを保つ」とされています。
- 天然保湿因子(NMF)は「フィラグリンの分解産物」
各疾患ごとの天然保湿因子(NMF)の量についても触れられており、
NMFの量 | |
アトピー性皮膚炎 | ↓ |
尋常性魚鱗癬 | ほぼなし |
乾癬 | ほぼなし |
乾皮症 | ↓ |
となっています。
構成要素の表が記載されていたレビューでは、天然保湿因子(NMF)の役割とセラミドの関係についても記載されています。
天然保湿因子(NMF)の一部である「乳酸」は、角層でのセラミドの産生にかかわる
今後出題される可能性もありますので、今回は天然保湿因子(NMF)についてまとめてみました。
出典・参考文献
- Fowler, Joseph. “Understanding the role of natural moisturizing factor in skin hydration.” Pract Dermatol 9 (2012): 36-40.
- O’Regan, Grainne M., et al. “Filaggrin in atopic dermatitis.” Journal of Allergy and Clinical Immunology 122.4 (2008): 689-693.
最後に、こんな風に考えたら答えがかわるかもしれない、というご意見がありましたら、
ぜひコメント・ご意見いただけると嬉しいです。
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