2019年度皮膚科専門医試験 第4問 天然保湿因子(NMF)【フィラグリンの分解産物です】

皮膚科専門医試験

問題 4.角層には天然保湿因子(natural moisturizing factor)が含まれている.その主成分はどれか. 

1. 乳酸
2. セラミド
3. アミノ酸
4. 分泌型 IgA
5. 低級脂肪酸

 角層の天然保湿因子(NMF)についての出題です。

 皮膚の機能と構造については度々出題されていますね。

 保湿といえば、セラミドかな、と思って選択すると誤答となってしまいます。

 僕は初見では間違えました。。

第4問 天然保湿因子(NMF)【解答:3】

解答:3

 天然保湿因子(NMF)は、「フィラグリン」の分解産物で、NMFの構成要素については以下のようになっています。

Fowler, Joseph. “Understanding the role of natural moisturizing factor in skin hydration.” Pract Dermatol 9 (2012): 36-40.より

天然保湿因子(NMF)の構成要素は

  1. 自由アミノ酸         40%
  2. カルボキシル酸・乳酸     12%
  3. 糖・無機物酸・ペプチド    8.5%
  4. 尿素             7.0%

 となっていますので、解答は3のアミノ酸、ということになります。

 同じレビューによるともともと天然保湿因子(NMF)は、

  1. 「角層の水分保持をするための水溶性化合物」であり、
  2. 水分保持により、
    1. 「皮膚の可塑性を維持し(角化細胞間の摩擦を抑える)」、
    2. 「角層の脱落のための加水分解酵素を機能させ」、
    3. 「皮膚バリアを保つ」とされています。
  3. 天然保湿因子(NMF)は「フィラグリンの分解産物
O’Regan, Grainne M., et al. “Filaggrin in atopic dermatitis.” Journal of Allergy and Clinical Immunology 122.4 (2008): 689-693.より

 各疾患ごとの天然保湿因子(NMF)の量についても触れられており、

NMFの量
アトピー性皮膚炎
尋常性魚鱗癬ほぼなし
乾癬ほぼなし
乾皮症

 となっています。

 構成要素の表が記載されていたレビューでは、天然保湿因子(NMF)の役割とセラミドの関係についても記載されています。

天然保湿因子(NMF)の一部である「乳酸」は、角層でのセラミドの産生にかかわる

 今後出題される可能性もありますので、今回は天然保湿因子(NMF)についてまとめてみました。

出典・参考文献

出典・参考文献
  • Fowler, Joseph. “Understanding the role of natural moisturizing factor in skin hydration.” Pract Dermatol 9 (2012): 36-40.
  • O’Regan, Grainne M., et al. “Filaggrin in atopic dermatitis.” Journal of Allergy and Clinical Immunology 122.4 (2008): 689-693.

最後に、こんな風に考えたら答えがかわるかもしれない、というご意見がありましたら、
ぜひコメント・ご意見いただけると嬉しいです。

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他の問題についてもこちらでまとめています。

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